【実機レビュー】Surface Book 2を今あえて使うメリットと限界|検証と対策まとめ

独特のヒンジ構造と、画面が分離してタブレットになる「Surface Book 2」。
発売から9年が経ち、最新のAI PC(Copilot+ PC)などで賑わう2026年現在、本機の立ち位置を振り返ります。
- 中古で安く手に入るクリエイティブノートパソコンを探している
- ARM版Windowsではなく、過去の互換性が高いIntel Windows機が欲しい
という方に向けて、動画編集やDTMなどの実負荷検証を交えながら使用感をレビューします。
結論「割り切りは必要だが、用途が明確な中上級者にとっては今でも魅力的な選択肢」です。
目次
スペック
| プロセッサ | Intel(R) Core(TM) i7-8650U CPU @ 1.90GHz (2.11 GHz) |
| 実装 RAM | 16 GB RAM 1866Mhz LPDDR3 |
| グラフィックス カード | Intel(R) UHD Graphics 620 (128 MB) |
| ストレージ | 512 GB PCIe SSD |
| システムの種類 | 64 ビット オペレーティング システム、x64 ベース プロセッサ |
| ペンとタッチ | 10 タッチ ポイントでのペンとタッチのサポート |
本機は第8世代Core i7を搭載しており、Windows 11の最小システム要件を正式に満たしているギリギリの世代となります。
負荷と動作検証
| 用途 | 快適度 | 実際の体感・負荷の傾向 |
|---|---|---|
| 動画編集 | ★★★☆☆ | 単一のフルHD編集なら可。エフェクト多用は厳しい |
| DTM | ★★☆☆☆ | プラグインの軽さに依存。トラック数が増えると重い |
| Web会議ツール | ★★★☆☆ | 4人程度なら◯。画面共有時の遅延に注意 |
| 映像配信 | ★★★☆☆ | 本体がかなり熱を持つ。外部機材での処理分散が必須 |
| コードエディタ | ★★☆☆☆ | VS Code単体は軽快。ただしメモリ消費は高め |
各用途における快適度を5段階で評価しました。
アプリケーション単体であれば問題なく動作しますが、複数のアプリを同時に立ち上げる「マルチタスク」になると途端に処理が追いつかなくなります。
本機でクリエイティブな作業をする際は、他のバックグラウンドタスクを可能な限り終了させましょう。
動画編集(Adobe Premier)

フルHD 1080p(10分)の動画書き出しにかかる時間は約4分。
基本的なカット編集はもっさりすることなく比較的軽量に動きますが、特定のエフェクトを挿入した瞬間にアプリが落ちることがあります。
爆速ではないためそれなりの待ち時間は発生しますが、ちょっとしたテロップ入れや簡単な編集であれば実用レベル。
DTM(Studio One 4)

40トラックのミックスダウン(オーディオ書き出し)にかかる時間は約3分。
軽量なプラグインなら平気ですが、負荷の重い音源やエフェクトを挿入すると動作が不安定になり、DAWを巻き込んでクラッシュすることがあります。
大編成のオーケストラ曲などを制作する場合は、セクションごとに一度打ち込み、不要なトラックは「フリーズ」または「バウンス(オーディオ化)」してCPU負荷を逃がす工夫が必要です。
Web会議ツール(Teams)

4人程度の少人数ミーティングであれば問題なく動作します。
ネットワーク環境や相手の接続品質にも左右されますが、「画面共有」を行うと目に見えて遅延が発生します。
致命的な遅れではないものの、秒単位のリアルタイムな掛け合いを重視するシーンでは注意が必要です。
映像配信(OBS Studio)

内蔵の前面カメラは1080p(5MP)です。 スマホやタブレットの小さな画面で視聴する分には気になりませんが、大型モニターに出力すると粗さが目立ちます。
配信を開始すると動作がややもっさりし、本体が急激に熱を持ちます。
パソコン本体への負荷を減らすため、カメラやマイクなどの周辺機器はできるだけ別ハードウェア(キャプチャーボードやオーディオインターフェース)側で処理を済ませ、 パソコン側はシンプルな構成にすると良いでしょう。
コードエディタ(VS Code)

エディタとしての動作は非常に軽快で、フリーズするような不具合もありません。 ただ、拡張機能やローカルサーバーの起動など、バックグラウンドで動くものが多いため、気づけばメモリを1GB前後消費しています。 他アプリを多重起動するとファンが勢いよく回り出すため、コーディング中はブラウザのタブを開きすぎないなどの配慮が必要です。
使ってみて便利だと思ったところ
3:2の画面比率

一般的なノートパソコン(16:9)に比べて縦の表示領域が広いため、スペックの数値以上に画面が広く感じます。 ブログ執筆、プログラミング、Webサイトのスクロール回数が減り、作業効率が格段にアップします。
高解像度で発色も鮮やかなため、メインディスプレイとしても十分に耐えうるクオリティです。
Surface ペンの連携

ペンの「ワンノック」「ダブルノック」によるアプリ起動や手書き入力の追従性は、Microsoft純正ならではの快適さです。
注意直近のWindowsアップデートの影響か、一部スケッチ画面がスムーズに開かなくなる現象が発生しています。 これに関してはMicrosoft公式の今後のアップデートでの改善を期待したいところです。
キーボードと外部端子

キーサイズと間隔のバランスが絶妙で、「JIS配列の正解」と言っても過言ではないほどタイピングがしやすいです。 MacBookのようなキーストロークが浅く柔らかい打鍵感ではなく、やや硬めでしっかりとしたクリック感があるため、長時間のテキスト入力でも指が疲れません。
また、外部端子の構成は今もなお優秀です。 カメラからそのままデータを移行できる「フルサイズのSDカードスロット」や、Power Delivery(PD)対応の「USB Type-C」を備えているため、 外出先での充電や周辺機器の接続に困ることはありません。
使ってみて気になったところ
ハイスペックゆえに、長く付き合う中での注意点もあります。ここでは私が実際に行っている対策と合わせて紹介します。
排熱とファンの風切り音

負荷の高い作業を続けていると、本体(ディスプレイ側)がかなり熱を持ちます。 具体的にはメモリ占有率が60%を超えたあたりから、内蔵ファンが大きな音を立てて回り始めます。 しかし、薄いタブレット形状の宿命か、内蔵ファンだけでは冷却性能が追いつきません。
卓上作業時は、150mm × 150mmの小型USBファンをディスプレイの背面に直接当てて外部から冷却しています。これで劇的に動作が安定します。
バッテリー膨張問題

1年ほど使った頃、本体の右手側にわずかな浮き(違和感)があり、気づいたときには内部のバッテリーが膨張してパネルを押し上げていました。 すでに1年間のハードウェア保証期間を過ぎていたため半ば諦めていましたが、公式サポートにダメ元で相談したところ、 なんと同等品(リフレッシュ品)と無償交換していただけました。 Microsoftの手厚いサポートには本当に感謝しています。
交換後は再発を防ぐため、UEFI(BIOS)設定から「バッテリー充電上限を50%に制限」するモードを有効にしています。 常に電源を接続してデスクトップ代わりに使う運用に変えてからは、バッテリーの膨張は一切起きていません。
画面の焼き付き

長時間同じ画面(特に白いウィンドウなど)を表示し続けていると、画面に焼き付き(残像)が発生することがあります。 幸い、ハードウェア的な永久の焼き付きではなく、画面を消灯してしばらく放置すれば元に戻る性質のものです。
Windowsのシステム設定を「ダークモード」にし、有機ELのような発光負荷を減らす工夫をしています。
持ち運びはギリギリ

13.5インチというサイズ感ですが、3:2の画面形状と頑丈なギミックのせいで重量は1,642gあります。 毎日の通勤・通学でカバンに入れて持ち運ぶには、そこそこの覚悟が必要です。
また、繊細な2in1構造のため衝撃にそれほど強くありません。 カバンの中で雑に扱ったり圧迫したりすると、起動時に「UEFI設定画面」に閉じ込められて通常起動しなくなるトラブルが多々あります。 持ち運ぶ際は、厚手のインナーケースが必須です。
用途が決まっている中上級者向けには魅力的なノートパソコン
Surface Book 2は、万人向けに手放しでおすすめできるノートパソコンではありません。 ローカル環境で生成AIをゴリゴリ動かすような最新トレンドの用途には完全にパワー不足です。
しかし、次のような明確な目的を持った人にとっては、現在でも非常にコスパが良く、愛着の持てる機器になります。
- 現代のOffice作業や事務作業を、広い画面(3:2)で快適にこなす
- 最新のARM版Windowsでは動かない、過去の豊富なx64/x86 Windows資産(古いプラグインやソフト)を確実に動かしたい
- マシンの限界を知り、排熱やバッテリー管理などの「対策」を運用できる
Windows 11のサポート要件は満たしていますが、今後のOSアップデート次第では一線を退く可能性もあります。 だからこそ、自分のやりたいこと(用途)と、このマシンの限界のバランスを見極められる「中上級者」にこそ、今でも選ぶ価値のあるノートパソコンです。
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